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基礎知識

精神科患者さんの退院先と福祉利用の一例

投稿日:2017年4月1日 更新日:

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現在精神科看護についてを紹介しながら、今後の学習展開について考察中です。
( ..)φ

私は現在、社会復帰を主とした病棟に勤めていますのでここ最近で勉強した退院支援の事を書いてみたいと思います。

 

一般科と違い精神科は、本当に様々な理由で退院出来ない現状があります。
(;´・ω・)

 

一般的なイメージとしては、「病気が良くなったら自宅へ帰る」といった考えが浮かぶと思いますが、精神科の場合は

 

家族間での折り合いが着かない帰る場所がない一人で生活が出来ないなどの問題があるからです。
ざっくりな説明の補足に下記の記事も見てもらえれば^^;
これから変わるであろう精神科看護
「社会生活」能力について

 

勿論まだ病状が安定しないなどの理由など上記の理由以外の様々な問題はありますが、ここでの焦点は上記の挙げた事についてを書いてみます。

 

退院に向けた三本柱

まず精神科患者さんが退院に必要な要点として

・定期的な通院
・確実な服薬
・日中の活動先

の必要があります。

 

これらに加えて、単身生活スキルや訪問サービスの利用などを併用して地域生活に移る練習・準備をしていくのが退院支援として行われていることです。

 

これらについてを簡単に書いてみます。

 

通院と服薬の必要性

退院が出来る段階では、入院にまで至った精神症状は落ち着いていると言えます。

この安定した状態が続いてもらえるように定期的な通院と服薬をしてもらう必要があります。

 

 

その為、病院としては服薬指導やその必要性を説明する。

具合が悪かった事や入院に至ってしまった理由を患者さん本人と振り返り、同じ問題を起こさない方法を一緒に考えていく必要があります。

 

今後「服薬コンプライアンス」や「コンコーダンス」、ケースによって「デポ剤の導入」「単身生活上での服薬管理の工夫」などの記事も書いていきたいと思います。
とても現段階では追いつきません(;´Д`)

日中の活動先とは?

上記では主に再発防止についての取り組みですが、どうしてもそれではフォロー体制としては不十分です。

 

これは精神科の病気が長い事による社会生活能力を忘れてしまう。衰えるといった部分あるからです。

 

何かしらの治療を行った後でもリハビリに通う外来に通院して経過を見る事と同じようなものです。

その為の通所サービスといった福祉サービスがあります。

 

 

聞いたことがある言葉として「デイケア」とか「デイサービス」などの言葉があると思います。

これは退院後も通院はしているが安定した生活を過ごすために利用されています。

社会復帰を目指す前段階や生活の安定を維持することを目的の場所です。

 

デイケアでの主な利用理由
まだ働く自信がない
人間関係が苦手
昼間に過ごす場所がない
仲間がいなくて家に閉じこもってしまう

 

 

これに対し「ナイトケア」と夜の居場所も存在します。

 

日中は作業所等に通っている人などが主な利用者で実際の活動の内容は夕食をみんなで囲み、カラオケ、ゲーム、テレビ鑑賞などをしながら、日中の疲れを癒したり独りにならないような利用目的です。

 

これも今後学習を掘り下げていく中で「通所サービスとは?」「これらを支える法律」「実際の利用についての流れ」なども記事にしてみたいと思います。

 

実際、病院の中であればPSWに聞けば済む話ですが、自己学習も兼ねて
(`・ω・´)

就労の場の提供も

上記ではまだ働く自信がない。と書きましたが、社会参加をしていく上では「働きたい。」といった考えは必ずあります。

ですがまだ一般的な就労が出来ない人を支える為のシステムがあります。

 

それが就労移行支援就労継続支援です。

 

これは障害者総合支援法によって支えられているシステムです。

この「移行」支援と「継続」支援の違いは

 

 

就労継続支援
一般的な就労がまだ出来ない人の機会を提供する事が目的
何かしらの生産的活動を通して社会参加や就労に向けての知識や訓練の獲得の場の提供
A型(雇用型)とB型(非雇用型)の2種類

上記の2種類の違いとしては、雇用としての契約があるかどうかです。

A型は事業所と雇用契約を結ぶため、職場で訓練をしながら収入の安定と各種保険の適用があります。

B型は利用者と雇用関係はないので、ある程度自由に賃金体系や就労体系を組むことができる。一般的なアルバイトより融通が利くといったイメージです。

その為、就労の機会を通して生産活動の知識や能力の向上が見込まれる人や過去に一般企業に就職していたが年齢や体力面の問題で雇用されることが困難になった人たちが対象になります。

就労移行支援
就労を希望する65歳未満の障がいのある人が対象
生産活動や職場体験などの機会の提供
就労に必要な知識や能力の向上のために必要な訓練、就労に関する相談や支援

就労継続支援との違いは、一般就労に向けて必要な知識・能力を養い、本人の適性に見合った職場への就労と定着を目指す事です。

 

その為の訓練としては仕事に取り組むための体力作りや心構えなどを行います。

 

実際の場では挨拶練習や身だしなみのチェック、電話応対やお客様を招く際の席次など、具体的場面を想定したビジネスマナー訓練やパソコンの基本操作の訓練が行われていました。

 

ざっくりと精神科患者さんが退院する為に利用されるサービス例を書いてみました。

 

勿論こういったシステムを利用しないで社会復帰をする人。必要とするまで生活能力に支障がない人もいらっしゃいます。

 

必ずこういったシステムの利用を勧める必要はありません。時には相手の自尊心を傷つけてしまう事もあるので、利用したい意思がある方に勧めてあげてください。

退院先の例

これは単純に住む所です。一般的な生活ならば「自宅」「民間アパートメント」といった居住地があると思います。

 

簡単に言えば「」に帰るですね。

 

ですがこの「」がない場合の選択肢として、よく出てくるのが「グループホーム」です。

 

他にも下記の様な居宅サービスがありますのでざっくりと挙げると

共同生活介護(ケアホーム)
生活介護や就労継続支援等の日中活動を利用し、食事や入浴等の介護や日常生活上の支援を必要とする人(障害程度区分が区分2以上)

 

共同生活援助(グループホーム)
就労し又は就労継続支援等の日中活動を利用し、相談等の援助が必要な人

 

福祉ホーム
家庭環境、住宅事情等の理由により、居宅において生活することが困難な人

 

住宅入居等支援事業(住居サポート事業)
精神障がい者等であって、賃貸契約による一般住宅への入居を希望しているが、保証人がいない等の理由により入居が困難な人(グループホーム等に入居している人を除く)

 

障害者支援施設での夜間ケア(施設入所支援)
通所が困難で自立訓練や就労移行支援を利用している人

などの居宅サービスの他に生活保護法母体の救護施設や高齢者向け住宅の存在、これには介護保険制度が絡んでくるなど、その人にあったサービスを利用する必要があります。

 

ある程度こういったシステムそのものを学習しておかないと患者さんのサポートが出来ないので、少しずつ勉強中です^^;

福祉サービス情報の場

これらの様な情報源としては、上記で挙げた各法律に書かれてはいますが

情報が広すぎて良くわからない」「実際にはどこにあるの?」といった事をよく聞かれます
(;´Д`)

 

 

なので、ざっくり聞けば良さそうな方法として

福祉サービス情報を得る場所
・病院のケースワーカー(PSW)
・市役所また保健センター
・精神保健福祉センター
・地域包括支援センター

利用したい人の通院・入院先または居住区の上記の所に連絡を取れば、教えてくれます。

 

福祉サービスを活用するにあたって

これらのように障がい者を支援する為のサポートはたくさんあります。

 

実際に精神科長期入院の人で、このシステムの説明や施設見学から退院して地域で暮らしている人も私は知っています。

 

 

この為には退院に向けた「患者さん自身の意欲や意向に沿った移行支援」に加えて「退院後の生活準備に向けた支援」が必要です。

 

こういった情報の提供や退院に対する不安や悩みを解決・サポートしていくのも看護師の仕事の一つです。
自分が偉そうな事が言えるのかは分かりませんが
(;´∀`)

-基礎知識

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