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基礎知識 精神科看護技術

精神科における「危険物」とは

投稿日:2017年4月2日 更新日:

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現在精神科看護師の仕事を紹介する形で自己学習と振り返りを行っている最中です。

 

以前精神科と一般内科等での仕事の違いを紹介してみました。
精神科と一般内科でお仕事の違い

その中であった危険物の管理は精神科看護師の大切な仕事の一つです。

 

今回はこれについての紹介をしてみたいと思います。

もう少し掘り下げた記事を書きました
精神科の「危険物」についてマジで考えてみた。[精神科看護技術]
 

どんなものが危険物?

精神科病棟では一般内科と違い、刃物ライター紐類なども「危険物」として慎重に取り扱っている点があります。

 

他にも鋭利に壊れるガラス類陶器、爪切りなども持ち込みを制限させてもらっています。

 

紐類」ではなかなか想像しづらいですがベルトタオル、靴やカバンについている紐、充電のコードなどもそれに該当します。

 

他にも難しいのは一見危険物には見えないけれど、そして生活に必要なものです。
例えば、箸・フォーク・洗剤などもケースバイケースです。

 

色々な危険を考えると携帯電話、パソコン、カメラなども危険物にあたります。

一部はいいとして、他の病院なら入院している際普通に持っているものばかりです。

 

これが何故「危険物」なのかを紹介していきたいと思います。

 

何故「危険物」と見なすのか?

まずこれらの持ち物の預かりや制限に関しては安全な療養環境を確保するためにあります。

 

精神科における危険物とは、不適切に使用すれば、自分の身体を傷つけたり、他人に害を与える可能性のあるもの全てをさします。

 

その為刃物に該当するような物品は危険物となります。

 

他の例を挙げていくと

ベルトやタオル、靴やカバンについている紐、充電のコードなどの紐類は首を絞める事が出来てしまいます。

携帯電話を始めとする通信機器は外部と連絡を取れてしまうことや、何でも情報を得られることが刺激となってしまい、精神症状を悪化させる要因になりえるからです。
通信販売などもここに含みます

 

 

現在の携帯電話はどれもカメラ機能が付いているため、個人情報の取り扱いとしても危険性があります。

箸やフォークも先が尖っているものは危ないですし、洗剤などの薬品類は、自殺目的で飲んでしまう人もいます。

よく患者さんだけでなく、他科から来た看護師さんに上記のような説明をしています。
(;´∀`)

 

この危険性に対する理解が不十分な時やその温度差がある場合は
※新規の患者さんやその家族。他にも精神科経験のない職員など

 

「御不快に感じられることもあるとは存じますが、安全な療養の確保のために協力の程、お顕いします。」

などの言葉は添えていいと思います。

 

 

右も左もわからない状況で、いきなり世間の常識とは違う事で怒られたら誰だって不快ですからね。

 

持ち込み可否の例

もちろん、全てのものを何でもかんでも預かるというわけではありません。

 

患者さんの精神状態や状況によって変わってきます。

これは閉鎖病棟と開放病棟での違い担当医の判断などです。

 

ざっくりと例を挙げてみると

持ち込み可能な物品
電池式のCDラジカセなど小型電化製品
電池式の電気シェーバー
プラスチック製のコップ
嗜好品やお菓子類
※生ものや腐りやすいもの、キムチなど臭いのきついものは不可
化粧品
※アルコール分があるなど危険物と思われるものは不可
持ち込み不可な物品
ドライヤー
ライター
カミソリ・ナイフ
アルコール類
ガラス製品や陶器類など割れやすいもの
シンナーなどの揮発物
パーソナルコンピューター
その他高額なもの
個人の紙オムツ、リハビリパンツ

以前は大体ここに携帯電話がはいっていましたが、使用ルールを守るといった約束を取り決めて、開放病棟では可とする病院が一般的になっています。

 

基本的に「硬いデカい重い」物はお断りしていますね。

 

大体が上記で書いてきたような判断で持ち込み品の可否を決めていますが、これが正解。といったスケールなどはありません。

 

それぞれの病院単位でどのような取り決めをしているのか確認が必要です。

 

看護師の持ち物も危険物

先ほどから患者さんの持ち物ばかり挙げていますが、看護師自身が持っているものも危険物になりえます。

 

看護師はポケットの中にペンやハサミやテープ、色々な物を入れて仕事をしていると思います。

 

これらもすべて危険物です。

 

患者さんが隙を見て取ろうとするかもしれないし、ついうっかりどこかへ置き忘れてしまうかもしれません。

 

よく「あると便利だから」「私は大丈夫よ」などの事を耳にしますが、これは危機管理としては不適切です。

 

精神科看護の特殊性として、様々な危険をリスクアセスメントする事が求められますので、これを見てくれた人は改めてくれると嬉しいのですが…^^;

病棟へ出入りした時は必ず荷物チェック

上記で語ってきた事の為、入院時に患者さんが来られたらまず荷物を全部見せてもらって危険な物、不必要なものは全て家族へ持ち帰ってもらいます。

 

入院時だけでなく、外出や外泊後にも荷物チェックは欠かせません。

 

一歩外へ出たら何でも手に入ってしまう世の中です。隠して持ち込もうとする人はたくさんいます。

 

そのため、病棟へ出入りする度に念入りに荷物を確認する必要があるんですね。

 

カバンの中はもちろん、ポケット衣服の中下着の中までチェックすることもあります。

 

 

これらの実例(体験談)を挙げてみると

荷物チェック時のトラブル
・ペットボトルの中にお酒を入れて持ち込んでいた
・靴下の中にチョコレートを隠していた
※対象の方は糖尿病の為
・パンツの中にたばことライターを隠した
※20代女性

他には家族でも、病気への認識が低ければ、患者さんに頼まれたらつい渡してしまうこともあるので、面会者と会ったあとなんかも要注意です。など、あれやこれやいろんな問題がありました^^;
※挙げたらキリがありません(;´Д`)

 

勿論これらの物品を使用したい事は重々承知しています。

 

 

一般的な生活であれば、ごくごく普通の事ですしね。

 

 

その為、荷物をチェックする人は何故チェックを行うのか、何故その持ち物が持ち込みが出来ないのかを把握してないといけません。

 

まとめ

精神科における物品管理は非常に重要です。

 

大切なことはスタッフ全員危険物に対する共通の認識をもっておくことです。

スタッフの認識が異なっていて、対応が違うと患者さんの混乱を招いたり、スタッフへ不信感を抱くきっかけにもなってしまいます。

どんな物であっても可能性を考えて、患者さん、そして自分自身の安全のために危険物の管理には気をつけたいです。

もう少し掘り下げた記事を書きました
精神科の「危険物」についてマジで考えてみた。[精神科看護技術]

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