前回ざっくりと「こころ」を構成する要素について書いてみました。
※こころの解剖生理についてもうちょっと説明してみる。[基礎知識]
この記事にたいして、勤勉なジョンさんが
ざっくりで良いので、何歳~何歳までに形成する要素とかが聞けるとわかりやすい!
じゃあエリクソンとハヴィガーストの話をすればいいのかな?
といった事があったので、これについてを記事にしてみたいと思います。まずはおさらいとして…
エリクソンが唱える理論の表です。
エリクソンの心理社会的発達理論
年齢 | 時期 | 導かれる要素 | 心理的課題 | 主な関係性 | 存在しうる質問 | 例 |
---|---|---|---|---|---|---|
6–11 歳 | 学童期 | 有能感 | 勤勉性 vs. 劣等感 | 地域、学校 | 人々とものの存在する世界で自己成就できるか? | 学校、スポーツ |
今回は「勤勉性 vs. 劣等感」のくだりですね!
この頃合いから大人と一緒の思考が出来る様になってくるんだよ
なにそれ?どうゆうこと?
一言でいうと要は推測できるようになる。かな
ここら辺りの発達具合で実際の関わり方が変わってくるから結構大事。
とりあえずピアジェの理論をもう一度見てみます
児童心理学のピアジェの理論
思考発達段階説
段階 | 年齢 | 特徴 | |
---|---|---|---|
1 | 感覚運動段階 | 0~2 | 感覚と運動が表象を介さずに直接結び付いている時期 |
2 | 前操作段階 | 2~7 | 他者の視点に立って理解することができず、自己中心性の特徴を持つ。 |
3 | 具体的操作段階 | 7~12 | 数や量の保存概念が成立し、可逆的操作も行える。 |
4 | 形式的操作段階 | 12歳以降 | 形式的、抽象的操作が可能になり仮説演繹的思考ができるようになる。 |
引用参考:ジャン・ピアジェ – Wikipedia
ざっくりこの3番目の具体的操作段階と4番目の形式的操作段階のイメージが付きやすいように語ってみます(^^;
出来んのかなぁ…(´Д`)
思考の発達
まず具体的操作の思考の「数や量の保存概念が成立し、可逆的操作も行える」という点です。要は…
これが底面積によっては、体積は一緒になりますよね?この様な単なる見た目ではなく、「体積」といった一見では分からない物事を把握できるようになる。
だけどその理論の範囲は具体的に理解できるところまで。これが具体的操作段階思考です。
これが発展していくと形式的操作段階になります。様々な学習で色んな理論を学ぶうちに、目の前の現象を推測して判断をしていけるようになる。
要はイメージをして、現実と分類したり現実そのものではなく理論的・論理的に捉える事ができるようになっていきます。
なるほど!色んな法則を知っていくうちに世界観を広げていく感じですね!
そう。こんな感じだから単に勉強に遅れているだけじゃなく、まだこういった学習に発達が追いついてない。と考えてあげるのも必要なの。
ここら辺の成長発達の遅れからコンプレックスとなる可能性があります。例えば
今までの算数なら+の計算しかしなかった。言わば数を数えればわかるような計算から
数学になると-○の計算といった目に見える事がない計算は理解ができない
などの問題が出る為、中学性くらいになるともう勉強そのものが分からない。といった苦手意識にも繋がりかねません。こういった成長発達の特性を理解して関わってあげる必要があります。
自尊感情
この辺が上手くいかないと前回の幼児期から少しずつ芽生えている自尊感情を損なわせてしまう可能性が高いです。
※褒めて伸ばそう!子どもは見た物聞いたものを自分に取り入れますよ![幼児期]
この自尊感情の発達は、動機付けといった感情の発達や人格形成にも大きく関わってくるので養育者の関わりが非常に重要になってきます。
イケメンは横文字好きだから、ピグマリオン効果とゴーレム効果ってのが好きそうだよ
なにそれ?教えて!(もはやスルー)
大人からポジティブな印象とネガティブな印象を受けるとそのまま行動に表れる事だよ。
無視しやがって…ヽ(・∀・♯)ノ
ピグマリオン効果:親や教師の期待によって子供の成績が向上するという心理的効果
ゴーレム効果:ピグマリオン効果の反対で、マイナス印象ばかりもってしまうと実際に本当に駄目になってしまうという心理効果
またこの動機付けに関しても
外発的動機づけ:叱ったり褒めたりなど、外からの働きかけによってやる気をひきだすもの
内発的動機づけ:好奇心や関心によってもたらされる。また自分で課題を設定して、それを達成しようとする様
こういった要因からも「勤勉性 vs. 劣等感」に関わってきます。
「ギャングエイジ」について
この時期は思考の発達の他に社会性も発達していきます。その中でこの「ギャングエイジ」といった特徴があります。
でもこういった関わりの中で脱中心化をしていく過程なので非常に重要です。
脱中心化
これまでの自己中心性の世界観から他者の存在を認識していく様
何度も語るがここが上手くいかないと本当の自己チューになってしまいます。
オーケー!勉強も大事だし、友達付き合いも大事なのがよくわかった。
そう。だから学校はなんだかんだ大事なのよ。最後に…
「9歳の壁」って言葉もある。
子どもはものすごいスピードで成長発達をしていきます。この頃合いから抽象的な思考や論理的な思考を必要とする学習へと進んでいきます。
この成長発達に追いついてない場合に壁があるといった事が言われています。
※参考 文部科学省-子どもの発達段階ごとの特徴と重視すべき課題-(小学校高学年)
成長発達が追いついてないだけなのにかわいそう…
そうなんです。だから成長発達も個人差がある事やここで根付いてしまったコンプレックスを拾ってあげることも大事なの。
なので、単純に長い目で見守ってあげる事や周りと比較しない事。出来ないのが今後も出来ない訳ではなく「今はまだ出来ない」だけの関わり方が必要になってきます。
本当に子どもができたらそうします!
うん。本当にそうしてあげてください。
ハヴィガーストの発達課題(児童期)
(1) 普通のゲーム(ボール遊び、水泳など)に必要な身体的技能の学習
(2) 成長する生活体としての自己に対する健全な態度の養成
(3) 同年齢の友達と仲良くすることの学習
(4) 男子または女子としての正しい役割の学習
(5) 読み、書き、計算の基礎的技能を発達させること
(6) 日常生活に必要な概念を発達させること
(7) 良心、道徳性、価値の尺度を発達させること(内面的な道徳の支配、道徳律に対する尊敬、合理的価値判断力を発達させること)
(8) 人格の独立性を達成すること(自立的な人間形成)
(9) 社会的集団ならびに諸機関に対する態度を発達させること(民主的な社会的態度の発達)
まとめ
今私たちが抽象的なものをより具体的に推測できるような思考方式になってくるのがこの形式的操作段階です。
何かしらの成長発達の異常はこの辺りからも目立ち始める事があります。
こういった問題から学習や周囲に対する苦手意識や拒否。その後に非行とかにも発展していく可能性もあります。
その為、義務教育は成長発達に合わせて組まれています。
※参考:発達段階ごとの特徴と重視すべき課題:文部科学省
また悪い方の見方ではなく、この成長発達がスムーズだと5年後10年後の先の自分を想像できるようにもなる。
自分がどの分野に力をいれるか入れたいのか、といった考えが生まれ、その後の「自我同一性」の形成に繋がっていきます。要は夢に向かう。将来の目標が出来るなどです。
こういった事がある為、生活歴や性格形成を見ていくのは、その人を知る為に非常に重要な事なのです^^