精神科だと特にアプローチが難しい「セルフケア」…
これに対するアプローチとして前回の記事で「生活能力評価」スケールについての看護研究を行っていると書きました。
※なるべく簡単かつ有効に生活能力を評価する取り組み[看護研究]
こんなん↓
今回は患者さんが「地域生活」を体験する為、どんな事をすればいいのか?といった考察の記事を書いてみます^^
生活指導が一番秀でているのは主婦!…のはず…
前回記事で
病院と福祉の重視するポイントの違い
病院
:病状のため、社会生活が送れずに入院治療をする。
なので病状安定で良くなったといった視点。
福祉
:病状安定は前提で、どの程度の支援がいるのか?
いわば生活遂行能力を重視している視点。
といった精神科病院と精神保健福祉の視点の違いを考察した。と書きました。
この為なのか、精神科ナースってどうしても「生活」を指導する事を難しく考えすぎてる現状があると思うんですよね(^^;
個人的には一番「生活」のプロは主婦だとおもうんだけどなぁ…
(´・ω・‘)
えっ、どうゆうこと?
いや、単純に
だって地域生活って、要はみんなが普通に過ごしている「生活」なんだから。
んで、それを大体その生活を取り仕切っているのが、主婦じゃないですか?
朝起きて、家族が仕事なり学校なりに行くのを送り出すためにご飯作ったり
Yシャツにアイロンかけて置いたり…
ごみの日を考えて分別したり、家の中を掃除したり
家計の事を考えて、スーパーのチラシをみて安くていい食材を買ってくるとか
万が一に備えて保険に入る事とか、子どもの成長に合わせて貯金をしておくとか
これ全部IADLなんだけど。
(´・ω・‘)ナゼ?
といった事を考え、自分の働く病棟でアンケートを取ってみました。
実生活からIADLについて考えて見る
IADLのそれぞれの項目に対して、どんなアプローチをしたら良いかアンケートを取りました。
もう単純に
・どんな事を行えば生活が成り立つか?
・むしろ自分の生活はどんな事をしているのか?
・生活の中でこれを覚えてもらいたい事。
etc…
と考えすぎずに意見が欲しい。と協力してもらったら結構「現代生活」の様子が出てきました。
ざっくり箇条書きにしてみると…
( ..)φカキカキ
家事に対する案 |
・ゴミの分別・各地域に合わせた処分が出来る
・風呂掃除が出来る ・トイレ掃除が出来る ・服・布団類を季節に合わせて使用することが出来る ・身の周りの整理整頓が出来る ・効率の良い片付けの仕方 ・掃除用具の選択 ・生活訓練室や実生活に近い場所で疑似体験をする |
意見をまとめると掃除や片付けが出来る事が生活を送るために必要。って感じになりそうですね
( ..)φ
掃除用具の選択は、ちり取りと箒ではなくダイソン掃除機も使えるなんかの意見もありました。
洗濯に対する案 |
洗濯できるものか否か判断できる ※色分け・分別手洗いでの洗濯 洗濯機を正しく使用できる 定期的に洗濯をすることが出来る 干した衣類を仕分けして片付ける事が出来る 洗剤の必要量を知る 適切な量を洗えているか 糊付け・柔軟剤・ネットを用いるなど応用した洗濯機の使い方を知る アイロン掛け コインランドリーに連れて行く |
やっぱり単純に「洗濯」といっても、色んなスキルや方法が出てきます。
単に洗濯機にぶち込めばいいだけじゃないですもんね(^^;
移送の形式に対する案 |
公共機関を利用することが出来る
目的地までの移動方法を調べることが出来る トラブルの回避や対処法を知る 電子マネーの利用 地図・路線図を用いる事が出来る |
これも例えばカーナビが使える。とかスイカを使って電車をスムーズに乗り継ぐなど
電車に乗る為に「切符を買って駅員さんに見せる」といったひと昔前の常識はもう通用しないのかもしれませんね(^^;
自分の服薬管理に対する案 |
一週間分の内服を管理できる
追加された内服を管理できる 一ヶ月分の内服を管理できる 本人の内服の必要性や作用・副作用を理解する 内服カレンダーの活用と入手 管理をしてくれるサービスの活用 |
この服薬管理に関しては、訪問看護で行われている例などの意見が出てきました。
これも何かしらのスマホアプリとかで内服忘れを防ぐ。とか、そんなサービスがあればまた違ったアプローチも出来るんだけどなぁ…
(´・ω・‘)
電話を活用する能力に対する案 |
生活に必要な連絡先を調べることが出来る
電話帳を管理できる 社会的手続きを質問することが出来る 受診できないとき、デイケア等を欠席する時など連絡を入れることが出来る 生活に必要な機関、施設を理解し電話が出来る 電話で自分の症状、状況、現状を正しく相手に伝えられる 携帯ショップで障害者手帳を利用するとどのくらい安くなるか聞きにいく 料金の上限を知る 料金設定に合わせた使用方法・頻度を考える 緊急時の使用方法 各場面設定でロールプレイを行う スマートフォンの基本的な使い方を知る |
これも現代生活に合わせると「電話」ではなく「通信機器の扱い」とかになるかもしれませんね。
もはやダイアル電話というか、昔の黒電話なんてのはどこにも存在しない訳だし。
買い物に対する案(財産管理と兼ねる) |
自分の収入を知り、計画的に買い物が出来る
生活に必要なものの優先度が理解できる 生活に必要な公共料金の種類、金額を知る 1日の食費の使い方を考える 日々の生活必需品を購入することが出来る 光熱費等、銀行やコンビニなどで支払いが出来る 机、ベットなどの家具、家電製品を購入することが出来る 電子マネーの利用機会を提供してみる 現金そのもので決済をする場面の提供 院内の売店で購入する物品を量販店などの価格設定と比べてみる 本人が予算や必要なものと考えた買い物をする 色々な場面での予算を考える 広告チラシを見比べて買い物を行う 生活保護費の支給額と生活に必要な金額を試算してみる |
患者さんにどんな事を知ってもらいたいか?といった目線に寄りがちとも思えますが、ここはすごい意見が出ました
(゚Д゚)イッパイ
現代生活において、きちんとお金を「使う」「貯める」などの事がどれだけ重要かがわかりますね
( ..)φメモメモ
食事の準備に対する案 |
偏りのないメニューの食事が出来る
必要な分だけの食材を買う 電子レンジの使い方と冷凍食品を買いに行く 賞味・消費期限の判断が出来る 炒飯が出来る ガスの管理が出来る 包丁の管理が出来る キッチンバサミやピーラーが使える IH機器を使う お湯を沸かしカップ麺を作る 一週間分の献立を考える 全て本人が考えて食材調達・メニュー作成・調理を行ってみる |
これもかなり色んな意見が出てきました。
自分で普段料理をする人としない人などの意見が混ざっているからだと思います(^^;
仕事が忙しいから外食や配色サービスを利用する人もいるし、自炊した方が安上がりだから
とか意見は色々なのでなんとも…
(´Д`)マトマラナイ
生活能力評価・向上プログラム案にしてみる
こんな様々な意見が出てきたので、これをそのまま退院支援の一つとして病棟プログラムにしてみました^^
つーか生活指導とかを一人ひとりやるのめんどいじゃん(´Д`)
内容としては、生活場面を実際に体験してみる事で、
観察の場面を増やす。
生活能力の不足点を見る。
社会交流の機会を増やす。
事などが狙いです^^
たくさん意見をもらいましたが、まだこれだけでは現代生活に必要なIADLがおさえられてるとは思いません。
今後もこの生活に必要なスキルや知識の考察とかプログラムの実際の事もまた別の機会で記事にしてみようと思います。
終わりに
精神科退院支援が上手く進まない現状に対して、自分なりに考えた事を少しずつ形にしている最中です。
まだまだやらないといけない事がたくさんありますし、勉強不足も否めません(^^;
今後も自身の仕事の取り組みや、勉強したことを記事にしていこうと思うので、記事を読んでくれてる人の参考になったり、一緒に考えてくれる仲間になってくれたら嬉しいです^^
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